壁にぶつかるランナーの割合――男女差は歴然
192万件以上のレース記録を分析した結果、男性の28%・女性の17%が「壁にぶつかった」と判定された。この差は年齢グループや能力レベルにかかわらず一定して維持された。
男性
女性
男性28%、女性17%が壁にぶつかる。オッズ比1.43。

* 壁の定義:5〜20km区間のペースと比較して、25km以降の5km以上にわたりペースが20%以上低下した状態


失速の「深さ」と「長さ」――男性はより深く、より長く沈む
壁にぶつかった際の失速のパターンを男女で比較する。女性はわずかに早く失速が始まるものの、回復が早くフィニッシュ前にペースを取り戻しやすい。
失速開始地点
29.6 29.3 km
失速継続距離
10.7 9.6 km
相対ペース低下率
40 37 %
平均タイムロス
31.5 33.2 分
男性
女性
失速継続距離:男性10.7km・女性9.6km。ペース低下率:男性40%・女性37%。

自己ベスト前後の「魔の3年間」――PBを狙う時期が最大のリスク
自己ベスト(PB)の達成時期を起点に、前後9年分のHTW発生率を分析した。PBを狙っている時期ほどリスクの高いペース設定を取りやすく、HTW率が急上昇する。
男性
女性
PB前9〜4年:男性26%・女性16%。PB前3〜1年:男性40%・女性28%。PB後1〜3年:男性32%・女性21%。PB後4〜9年:男性26%・女性16%。
PBを狙うランナーへ:自己ベスト更新に最も近い3年間はHTW率が男性で+14ポイント、女性で+12ポイント急増する。「今日こそ出し切ろう」という意識が前半の突っ込みを生み、後半の崩壊につながる典型パターンだ。

年齢別HTW発生率――中高年ランナーは意外と壁にぶつかりにくい
若いランナーほど壁にぶつかりやすく、40代以降は経験の蓄積によるペース管理の向上で相対的にリスクが低下する傾向がある。性別の影響は年齢グループ全体にわたって一貫している。
男性(推定値)
女性(推定値)
20〜39歳が最も高く、年齢とともに低下傾向。男性は全年齢で女性より高い。

* 年齢別の具体的数値は論文の補足図から推定。傾向の方向性は論文の記述と一致する。