9 Dragons Ultra 50K | 香港のスカイラインを走る

トレイル

Map of the route “9 Dragons Ultra 50K | 香港のスカイラインを走る”: 64.88 km, 6,702 m of climbing and 6,655 m of descent, elevation between -32 m and 774 m, time 12:27:30. It starts at 22.45394, 114.15809 and ends at 22.35339, 114.23956 (latitude, longitude).

合計距離: 64.9 km
最高点の標高: 775 m
累積標高(上り): 6702 m
累積標高(下り): 6655 m
Download file: 9_dragons_ultra_50km_2018.gpx
急登の Needle Hill

コースもタフで制限時間が厳しいレースです。

2017年から開催されているレースで、カナダの「Squamish 50/50」にインスパイアされた「50マイルの翌日に50km」という過酷なステージ制が特徴です。50マイルか50kmのどちらかに参加することも可能。

私はこのレースには 2018年/2019年/2024年 と過去3回、いずれも50kmの部に出ています。2019年は膝の故障を抱えたまま出走し、なんとかゴールに辿り着いたものの、制限時間を超過してDNF。さらにこのレースで膝の故障を悪化させて、3年ほど走れない時間を過ごすこととなりました。「もし再び走れるようになったら、また 9 Dragons に出て次はちゃんとフィニッシュしよう」とリハビリ(自転車)を続け、無事2024年にリベンジを果たすことができました。

なぜこのレースにそこまで拘るのか?他の香港のレースと何が違うのか?と言われると正直私にもよくわかりません。ただ私が言えることは、2018年のレースが強烈に印象に残っているから、です。スタート地点もゴール地点もアクセスが良い場所ではありません。また制限時間が厳しく、ボリュームゾーンの走力だと制限時間ギリギリとなる可能性が高いです。それでもこのレースは年々と成長し、知名度も上がっていきました。

9 Dragons Ultra 50K 基本情報

開催地香港・新界 (New Territories) エリア
開催時期2月下旬
距離53 km
累積標高3550m (ITRA掲載ベース)
制限時間12時間30分 (2018年)
ITRAポイント3
公式サイトhttps://www.the9dragons.asia/

その他の情報

・2月といえど香港なので気温は高め
・主催者が推奨するホテルは沙田にある Regal Riverside hotel
・香港中心部から沙田へは地下鉄でアクセス可能
・主催者からホテルの割引コードが提供されることがある。
・でもスタート地点は沙田ではなく 大埔 tai-po というところ。
・沙田から大埔までは地下鉄でアクセス可能
・2024年はホテルからスタート地点まで送迎バスがあった(有料)
・ゴール地点はかなり辺鄙な場所なので注意。
・ゴールから最寄り駅(寶琳 / po lam だったはず)まで送迎バスあり。詳細は主催者に要確認。
・ゴール最寄り駅からホテルがある沙田まではかなり遠いので注意。
・私は毎回タクシーで帰ってました。

2018年のレース

2018年時点ではまだこのレースはまだそんなに知名度はありませんでした。この頃、私は(日本からアクセスが良い)香港・台湾・韓国あたりで面白そうなレースを探していました。このレースを選んだ理由は「9 Dragons」という名前がかっこよかったから。ただそれだけで選びました。当時のアジアにはまだ UTMBの冠が付くレースは(確か)無かった、というのも理由の一つ。でも、仮に草レースみたいな大会だったとしても「香港のスカイラインを走る」という目的が達成できればそれで良い、というぐらいの感覚でした。

2018年頃の私の走力はフルマラソンで3時間40分程度。これくらいの走力なら大体のレースは余裕を持って完走できるだろう、という感覚でいました。

50Kレースが始まった

しかし、実際に50Kのレースが始まって最初のチェックポイント(各エイドがチェックポイントとなっている)に着いてみると、カットオフタイム(足切り時間)まで30分も無いことに気づく。あれ?これ余裕無くない?え?

その後はカットオフタイムに追われるように走ります。いつもだったら割と早めに歩きが入るんですが、余裕をこいてたら間に合わない。出来るだけ走る。チェックポイントは全部で6箇所。チェックポイントを到着する度にカットオフタイムまでの余裕時間はどんどん短くなっていった。

大帽山 (tai mo shan) いいところです。

最後のチェックポイントはカットオフタイムまで10分もないぐらいに到着。

もうここまででかなり出し切っていて、ゴールに着いたとしても絶対に制限時間に間に合わない。もうすぐ日も暮れる。ヘッドランプは持っているけど土地勘の全く無い香港の山の中で夜間走なんてしたくない。「もう辞めよう」と決意してエイドのスタッフに告げる。
「辞めます。どうやって帰ればいいですか?」
エイドのスタッフは怪訝な顔をする。
「ここから帰るのは結構たいへん。自分でゴールまで走るのと変わらないよ」
「ええ〜」
「見て。ちょうどカットオフタイムで今着いた人たちはDNF」
後ろから来た何人かの人たちはみんな必死に走ってこのチェックポイントに辿り着いてるけど、カットオフタイムは過ぎていて、DNFを告げられてガッカリしている。
「頑張って制限時間内にここまで来たんでしょ?頑張ったら?」
「はい…」
「ちなみにゴールの制限時間まで2時間ぐらいある」
「え?」
ゴールの制限時間だけが緩かった。もしかしたら間に合うかも、ということでレースに復帰。

日はすっかり暮れて、暗闇に包まれた香港の山の中を走る。前後に人はほぼいない。なんか得体のしれない動物が飛び出してきても不思議じゃない雰囲気(昼間走ってた区間には普通にサルとかがいた)。恐怖に少し泣きたくなる。

やっと最後のロードに出る。でもやっぱり時間に余裕はない。走る。前のランナーに追いつく。欧米系の女性ランナーだった。

「Well Done !!」

えっ。ありがとう。一緒に走ってるランナーからそんな言葉を貰ったの初めてかも。しかも英語で。「あなたも」と言いたかったが、どう言えばいいかわからず、その言葉は出なかった。

ゴールにたどり着く。間に合った。オーガナイザーと思われる人から完走メダルを貰う。やばい、感動してるかも、俺。だって過去イチ頑張ったレースだし途中で辞めようとしたし。感動するでしょ。地元の人らしきランナーはそんな自分の事を見て微笑んでいた。

9 dragons の完走メダル

余談:SUUNTO と GARMIN の計測精度

↑Suuntoによる計測結果。累積標高が公表値とずいぶん乖離しています。距離も4kmほど乖離しています。※確か制限時間15分前ぐらいにゴールしたんですが、停止ボタンを押すのを忘れていました…

↓こちらはGarminによる2024年の計測結果。こちらの累積標高は公表値と近いですね。カロリーもSuuntoと比較して1000ぐらい差があります。

パッと見は Garmin のほうが精度が高い気がします。Suunto の精度に疑問を感じますが、現行モデルでどのくらい改善されているのか気になるところです。

このレースの制限時間が厳しい理由(推測)

このレースのエイドはリレー形式になっているっぽい。イメージとしてはこんな感じ。

CheckPoint 1 : エイドチームA (制限時間経過後にCheckPoint 3に移動)
CheckPoint 2 : エイドチームB (制限時間経過後にCheckPoint 4に移動)
CheckPoint 3 : エイドチームA
CheckPoint 4 : エイドチームB
CheckPoint 5 …

これでエイドに必要なリソースを大幅に削減することができる。でも、トレードオフで各チェックポイントの制限時間を厳しくする必要がある。これが最終チェックポイントまでの時間が厳しく、ゴールまでの時間が緩かった理由。エイドで何度も同じスタッフを見るので不思議だったんですが、(たぶん)こういうことでした。

まとめ

大半は私の出走記になってしまいました。ただ、このレースの良さって YouTube を見てもわからないだろうし、個人差が結構あるような気がします。走力がある人にとってはこのレースはそんなに印象に残らないかも知れません。でも私にとってはこれまでのレースの中で特に印象に残っています。完走出来るかどうかわからない。それぐらいのレースが一番記憶に残るのかも知れません。